ゲラップは、求職者からの実エントリーを増やすために、サイトの現状分析からコンセプト設計、デザイン・実装までを支援しました。ユーザーの行動とサービスが届けたい価値を整理し、その両方を導線やコンテンツへ反映したリニューアルの過程をご紹介します。
人材紹介サービスサイトをリニューアルした背景
リニューアルの目的は、自社で求職者を集める力を高め、サービスサイトからの実エントリー率を改善することでした。既存サイトにはサービスを知るための情報が揃っていましたが、求職者が必要な情報を見つけ、フォームへ迷わず進めるかという点に課題がありました。
成果の把握にも整理が必要で、個人のエントリーと企業からの問い合わせが同じCVとして集計されていました。表示上のCV数だけでは、実際に何件の求職者獲得につながっているのかを把握しづらい状態です。デザインの位置ずれやリンク切れ、古いメンバー情報も見つかり、導線・計測・掲載内容をあわせて見直すことになりました。
GA4分析で見えた、CVを妨げる導線上の課題

どの情報を目立たせるべきかを判断するため、まずGA4でCVユーザーと非CVユーザーの行動を詳しく比較しました。閲覧ページ、表示回数、離脱数・離脱率を確認し、エントリーにつながる行動と、途中で離脱する行動の違いを探っています。
CVユーザーには、フォームへ直接進む動きに加え、メンバー紹介や利用後の将来像に関するコンテンツをよく閲覧する傾向が見られました。非CVユーザーは複数ページへ分散し、会社概要など、閲覧されていても離脱の多いページがありました。閲覧の多さだけで重要度を決めると、エントリーに向けた判断を支える情報が埋もれてしまいます。
この比較をもとに、メンバー紹介と将来像に関するコンテンツを優先し、会社概要などは下層へ移す方針を立てました。フォームへすぐ進みたい人の動線を確保しながら、相談するか迷っている人には、担当者やサービスへの理解を深められる情報を届ける設計です。分析で定めた情報の優先順位が、その後のサイト構成の土台になっています。
Point閲覧数だけでなく、CVユーザーと非CVユーザーの行動差からキラーページを特定。優先コンテンツをファーストビューの導線へ反映しました。
コンセプト不在から始めた1日のワークショップ
情報の優先順位が見えた段階で、ファーストビューのキャッチコピー制作を進めると、サービス全体を貫くコンセプトが定まっていないことが分かりました。何を先に見せるかに加えて、求職者にどのような価値を伝えるかを、サービスに関わるメンバーと共有する必要がありました。
そこで、キャリアアドバイザー、法人担当、マーケティング担当、責任者が参加する、約1日のワークショップを実施しました。ゲラップの會野がアジェンダ、個人ワーク、評価方法、意思決定方法までを設計し、当日も単独でファシリテーションを担当しています。
会議では個人でキーワードを出し、その言葉を選んだ理由を全員で共有したうえで、一定の型に沿ってコンセプト案を組み立てました。現場で求職者に接する立場と、企業の採用を支える立場では、重視する価値にも違いがあります。幅広く出た言葉を一つに絞るため、顧客視点、独自性、拡張性、分かりやすさを共通の評価軸にしています。
決裁者にも検討の過程から参加してもらい、発散、共有、言語化、評価、決裁までを同じ場で進め、最終合意に至りました。決定したコンセプトの中心にあるのは、求職者が自分らしい未来を前向きに描くという考え方です。分析で重視した将来像のコンテンツに、サービス側が伝えたい価値が結びつき、サイト全体の表現を判断する軸ができました。
Pointコンセプトが決まっていないままコピーだけを整えても、判断の軸は生まれません。現場と決裁者が同じ場で言語化し、その日のうちに合意まで進めました。
データとコンセプトをサイト設計へ落とし込む
サイトでは、CVユーザーがよく見ていたメンバー紹介や将来像に関するコンテンツへ、ファーストビューから進める導線を設置しました。優先度の低い情報は下層へ移し、求職者が相談を決めるための情報に触れやすい構成にしています。あわせて企業問い合わせを求職者向けフォームから分離し、利用目的の異なる問い合わせを区別できるようにしました。
コンセプトはコピーだけでなく、ビジュアルとコンテンツにも反映しています。メンバー紹介では一人ひとりの写真を撮影し、個別ページを制作しました。さらに、各メンバーが考える将来像を手書きで表現してもらい、プロフィールに加えて、その人が大切にする考え方にも触れられる内容にしています。
この企画には、分析で重要と判断したメンバー紹介を充実させながら、合意したコンセプトを具体的に伝える狙いがあります。相談を受ける人の顔や言葉を通じてサービスの姿勢を示し、求職者が担当者を知ることと、自分の将来を考えることがつながるように設計しました。
制作体制とプロジェクトの進め方
これらの判断を制作へ引き継ぐため、クライアントには事業情報の共有や内容確認に加えて、コンセプトの言語化、撮影・コンテンツ制作にも参加していただきました。ゲラップは分析と会議設計を起点に、要件定義、情報設計、デザイン、実装までを担当しています。
公開にあたっては、デザインの崩れやリンク切れを修正し、メンバー情報などの掲載内容も更新しました。リニューアル後にはSearch ConsoleとMicrosoft Clarityを導入し、GA4に加えて公開後の状態を確認するための計測環境も整えています。
公開翌月からの2か月で、実CVRが前年同期比約2.1倍に

公開翌月からの2か月を前年同期と比較すると、セッション数は約4%減少する一方、営業問い合わせなどを除いた実エントリー数は約98%増加しました。実エントリー数をセッション数で割った実CVRは、前年同期比で約2.1倍となっています。
※ 比較対象は公開翌月からの2か月と前年同期。アクセス指標はGA4、実エントリー数は営業問い合わせなどを除いた内部集計で、関連LPとフォームページを除いています。掲載している実数はダミーで、倍率と増減幅が実績値です。
公開翌月の1か月を前年同月と比較すると、エンゲージメント率は約17.8ポイント上昇し、平均滞在時間も約1分伸びました。翌月も実CVRは同じ水準を維持し、エンゲージメント率と平均滞在時間は、前年同月・前月のどちらと比較しても改善しています。
比較期間中、サイト以外の施策は変更していません。流入量が増えていない状況で実エントリー数が伸びたことから、ゲラップでは、情報の優先順位、コンセプト、導線、コンテンツを見直した一連の取り組みが、訪問後のエントリー率の改善に寄与したと捉えています。個々の施策の効果を切り分けた数値ではなく、リニューアル全体の結果です。
流入を増やさなくても、エントリーは増やせます。広告の出稿量を足す前に、いま来ている人がどこで止まっているかを確かめると、打ち手が変わります。
成果につながるサービスサイトに必要な条件
今回の取り組みで土台になったのは、ユーザーの行動を比較できるデータと、サービスの価値を判断できる人が参加する場でした。CVユーザーと非CVユーザーの違いを把握できれば、情報の優先順位を検討できます。そこに現場メンバーと責任者の合意が加わることで、何を伝えるかが定まり、コピー、デザイン、コンテンツの判断を揃えやすくなります。
リニューアルを検討する際には、実際のエントリーを区別して把握できているか、サービスの提供価値を現場と責任者が共有できているかが、着手前に確認したい点です。本件では、その二つを整理してサイトの設計と制作につなげ、公開後も同じ定義で成果を確かめるところまで支援しました。